保育園での噛みつきは、多くの子どもに見られる発達過程の一部だと言われています。筆者も子どもが噛みつきの被害に遭いました。乳幼児の噛みつきはよくあることだと言われても、実際に噛まれた我が子を見ると心が痛むものですよね。
今回は「保育園で子どもが噛まれてしまったとき」の対処法をご紹介したいと思います。
お子さんの心身のケアが最優先
噛みつきにあった場合、誰にやられたのか、保育士さんはどうしていたのか、など知りたいことは山ほどありますが、まずはお子さんの心身のケアにつとめましょう。一番驚き、恐怖を感じていたのはお子さんです。「怖かったね」「痛かったね」と共感の気持ちを表し、落ち着くまで抱きしめるなどして不安な気持ちを受け止めてあげてください。噛まれた状況について無理に聞き出そうとすると恐怖がよみがえり、登園を恐れる可能性もありますので注意が必要です。じっくりとお子さんの気持ちが落ち着くのを待ちましょう。
傷の確認と手当て
お子さんが落ち着いたら傷の状態の確認をします。多くの保育園ではすでに処置は終えているはずなので、傷が膿んでいないか等ご家庭で改めて確認することが大切です。また、園で処置済みの場合でも、帰宅後に再度、流水で優しく洗い流すと安心です(口の中の細菌による感染予防のため)。
その後、腫れや内出血(あざ)を抑えるため、タオルで包んだ保冷剤や氷のうで冷やしましょう。強く揉むのは避けてください。
医療機関を受診する目安
保育園ではよくあること、とは言いますが、傷の程度は人それぞれ。気になる様であれば迷わず受診することをおすすめします。特に顔など傷跡が残りやすい部位の怪我は、自己判断せず受診を検討しましょう。
【受診を強く推奨するケース】
▲出血が多い…10分間圧迫しても出血が止まらない。
▲傷が深い…皮膚が切れている、歯が刺さったような深い傷がある。
▲腫れがひどい…噛まれた部分がひどく腫れている、または時間が経っても腫れが引かない。
▲痛みが強い…お子さんが痛みを訴えて泣きやまない。
▲顔など目立つ部位…傷跡が残る可能性を考慮し、医師の診察を受ける。
(※病院で軟膏などの処置が行われることがあります。)
保育園への対応と連携
保育園のスタンスは「申し訳ない」という気持ちと「保育園ではよくあること」の両方が共存しているような気がします。親からすれば「何してくれてんだ」と怒りの気持ちが湧きますが、ここは一度冷静になって保育園と話し合うことをおすすめします。
筆者も連続3日間噛まれた続けた(その後も何度か噛まれた)経験があります。怒りが込み上げてもきました。ですが、保育士さんたちも必死で守ろうとしてくれていたのも事実。噛む子はものすごい速さと大人の隙をついて噛みます。まずは「いつ、どこで、どういう状況で」噛まれたのか、その時の保育士さんの配置は十分だったのかなど、冷静に事実を細かく聞くようにしましょう。
筆者の体験談では、我が子にも原因がありました。噛む子の嫌がることをした→嫌だと言葉にできない子は噛むしかない→結果我が子が噛まれた
という方程式でした。1歳・2歳の子に言い聞かせるのは難しいのですが、「こういうことをしたら噛まれる」という経験と説得で我が子は噛まれなくなりました。
保護者の不安はしっかり伝えるべし
「噛み癖は乳幼児によくあること」とよく言いますが、された側にはとんでもない話なのはいうまでもありませんよね。保育園ではよくあることだからと流されてしまいがちですが、それでも噛まれたことへの不安や心配な気持ち(「傷が残らないか」「何度も繰り返されないか」など)を率直に伝えるようにしましょう。教員経験者としていえることは、「親がうるさい家の子ほど、先生たちによく見てもらえる」ということ。これは実体験です。何も言わないと「受け止めてくれている」「納得してくれている」と思われてしまいます。好戦的な態度はよくありませんが、「しっかり見てくださいね」と念を押すことは、我が子を守るのだと思います。
なぜ噛んでしまうのか
そもそも乳幼児になぜ噛み癖が多いのか。特に1歳から2歳頃の乳幼児期に多く噛み癖は見られるようですが、その行動の裏には様々な子どもの気持ちが隠されているといいます。
気持ちを言葉で表せないから(最も多い理由)
自我が芽生え、「あれで遊びたい」「嫌だ」という感情や欲求が出てきますが、まだ言葉でうまく伝えられません。そのため、噛むという身体的な行動で気持ちを表現してしまいます。
感情をコントロールできないから
興奮したり、怒りや不安で心が不安定になったりしたときに、その強い感情を抑えきれずに噛みついてしまうことがあります。
感覚的な楽しさから
乳児は口の感覚が鋭いため、噛む・なめるという行為自体が物の性質を確かめるための探索行動や、単純な遊びとして起きることがあります(攻撃的な意味合いは少ないです)
甘えたい・かまってほしいから
大人やお友だちの注意を引きたい、甘えたいという気持ちから噛む行動に出ることもあります。
歯の生え始めのむず痒さ
歯が生え始める時期は、歯茎のむず痒さを解消するために物を噛む行動が増えることがあります。
まとめ
子どもが噛まれたとき、親はとても胸が痛みます。替わってあげたい、違う保育園を探してあげたい、もう預けたくない・・・。
筆者も同じ経験をしたのでわかります。
ただ、噛まれた我が子も1歳・2歳ですが、噛んだ子も1歳・2歳。乳児の力では食いちぎられるようなことはありませんし、痕に残るような傷になる可能性もそこまで高くないはずです。今思えばそう。今思えばです。
まずはお子さんの心のケアを最優先で行ってあげましょう。傷は治ります。でも心の回復には親の力が必要です。
そしてネネちゃんのママのように、夜な夜な「わたしのかわいい子になにしてくれてんじゃ---」ってぬいぐるみを殴りましょう!
コメント