旧統一教会に解散命令のなぜ?統一教会とはどんな団体?わかりやすく解説

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2023年10月12日、文部科学省が統一教会に対して「解散命令請求」を東京地方裁判所に申し立てる方針だというニュースが報じられました。2022年7月、安倍晋三元総理大臣が襲撃されてから耳にすることが増えた「統一教会」。私自身は幼いときに「合同結婚式」でワイドショーを騒がせていたのを見ていたイメージが強く、それ以外の知識があまりなかったため、今回しっかりと調べてみました!

目次

統一教会とはどんな団体なのか

統一教会とは正式名「世界平和統一家庭連合」。1964年7月15日に宗教法人として東京都の認証を受けた宗教団体です。現職の日本の会長は田中富広氏。教会の数は284。では詳しくみていきます。

 統一教会の主張と活動内容

統一教会では、神様を中心として男女が真の愛で結ばれ、神様の理想を具現化する場として、結婚と家庭を最も重要視しています。神様を中心とした祝福結婚によって誕生した家庭を「祝福家庭」と呼び、教会員の信仰生活はその祝福家庭をベースとして行われるそうです。

統一教会の教えは「統一原理」と呼ばれていて、創始者の文鮮明総裁が長い年月をかけて宇宙に潜む普遍的真理を解き明かしたとされています。その原理は以下の3つ。

1、創造原理…喜びや愛は、決して一人では成すことができない。神様の愛の理想を実現するために、愛する対象として造られたのが、まさに私たち人間だという考え。

2、堕落論…愛と善を具現化した人間に不幸があるのはなぜか。それは人間の堕落にすぎない。堕落によって神様の真の愛を喪失してしまったのだという考え。

3、復帰原理…堕落した人間を神は見捨てない。その神様の救いの計画と努力は、旧約・新約聖書をはじめとする人類の歴史の中に綿々と綴られている。しかし、その多くは比喩や暗号で書かれており、特別な法則に照らして解かない限り理解することができないという考え。

霊感商法による資金繰り活動が問題となっているようです。詳しくは以下で解説します。

統一教会の歴史と設立経緯

統一教会のHPによると

”神と人間の理想である「地上天国」を実現するために、神からそのみ旨を託された創始者「文鮮明(ムンソンミョン)」氏によって1954年5月1日韓国・ソウルで創立”とあります。創始者とその妻である韓鶴子(ハンハクチャ)を総裁とし、人類の真の父母と考えて活動。

日本家庭連合は1959年10月に創立され、2023年現在で創立64年を迎えた宗教団体です。

創始者の文鮮明氏は1920年1月6日、韓半島の平安北道定州郡に生まれ、熱心なクリスチャンとして育ちました。1935年4月17日の朝、イエス・キリストが霊的に現れ、神のみ旨を完成しなければならない使命があるという啓示を受けたそうです。

妻の韓鶴子氏は1943年1月6日、韓半島の平安南道安州郡に三代続きの一人娘として生まれ、祖母と母のキリスト教の信仰の背景、霊的な守りの中で育ったそうです。

文鮮明氏は1954年5月1日、ソウルに「世界基督教統一神霊協会」を創立。1960年4月11日には、韓鶴子氏と聖婚式を挙行。その後国際平和機関を次々に創設した。

文鮮明氏は2012年9月3日午前1時54分、肺炎などの合併症のため、韓国京畿道加平郡の病院にて逝去。享年93歳。その後に総裁は妻が引き継いでいるが、息子たちと後継争いで分裂しているといいます。

家出者が続出して問題に

60年代、前述の教義を広める「原理運動」が全国の大学や高校に広まりました。大学や街頭で「青年の意識調査」などのアンケートを口実に、学生や市民に接近したり、サークルの勧誘活動をよそおったりしていました。そして「本当の自分を探してみませんか」など自己啓発の名目で全国数百カ所のビデオセンターに誘い込み、マインドコントロール(洗脳)の手口で文鮮明氏をメシア(救世主)と信じ込ませていたといいます。多くの信者が生活をなげうち、物品販売や伝道にかりたてられました。また、学業を投げ出して家出する学生が相次ぎ、家庭を壊されたという親からの相談も相次ぎました。そのことで「統一教会」がメディアでも取り上げられ、先祖の因縁や霊界への恐怖を植え付け、大理石のつぼや仏像、印鑑などを売りつける霊感商法や、「難民救援」などと目的を偽った募金活動などで、多額の資金を集めていることが問題となったのです。

合同結婚式

1992年8月にソウルで行われた「合同結婚式」。日本中でこの結婚式は大きく報道されることになりました。その理由は、当時人気絶頂だった歌手の桜田淳子さんやロスオリンピックの「体操の女王」と呼ばれた山﨑浩子さん、バトミントンの元日本王者の徳田敦子さんが参加していたからです。桜田淳子さんはこの結婚前の会見で次のように語ったそうです。

「見ず知らずの相手といっても、価値観が一緒で人生の目的、方向性が同じ人が集まるのだから、不安はありません。教会の教えは愛と性を大切にする。正しい家庭生活をスタートする上での厳粛な儀式と考えています。抵抗はありません」

そもそも「合同結婚式」とはどのようなものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

合同結婚式の前に「修練会」というものが開かれるそうです。そこでは前述の「原理」が叩き込まれ、いかに人間が堕落しているか、だから祝福婚が必要なのだと説かれるそうです。そして修練会ののち「国籍や学歴を問わず、どんな人でも受け入れる」誓いをたてるそう。そしてお互いの写真をもとにマッチングして行われるのが「合同結婚式」とのこと。

1万人から2万人の日本人が参加し、100万円以上の「祝福献金」を支払う必要があったそうです。教団の資金となっていたのでしょう。

統一教会に解散命令が請求された理由

今回、なぜ文部科学省は東京地裁に「解散命令を請求」することになったのでしょうか。国から解散を命じられた宗教団体としては「オウム真理教」がありますが、統一教会は何が問題とされているかみていきます。

統一教会の問題点と批判

宗教法人法には「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為などがある場合、文部科学省などの請求を受け、裁判所が宗教法人の解散を命じられる」と定めています。

今回問題となっているのは「高額な献金問題」であるといわれています。悪質な献金集めが組織的、継続的に行われたと判断し、収集した約5千点の証拠資料を提出して請求の正当性を訴えています。文化庁の調査では、被害規模は約1,550人で、損害賠償額や解決金などは総額約204億円に上るとのこと。高額献金を求められた被害者の中には、家族や会社に無断で資産を処分したり、退職金や失業手当などを充てたりしたケースがあったといいます。解散請求の理由について盛山大臣は「教団は遅くとも昭和55年頃から、長期間にわたって継続的に信者が多数の方々に対し、自由な意思決定に制限を加え、正常な判断が妨げられる状態で献金や物品の購入をさせて多額の損害をこうむらせ、生活の平穏を妨げた」などと述べました。

そもそも統一教会の「巨額な献金問題」が取り沙汰されるきっかけとなったのは、安倍元首相の襲撃事件の犯人である山上徹也被告もその被害者だと報道されがことでした。山上被告の母親が統一教会にのめり込み、巨額な献金を続け、家庭が崩壊。山上被告は統一教会に関わっている「大物」を狙おうと考えた結果、安倍元首相が被害に遭いました。また献金などの影響で家族関係が破綻したほか、経済的に困窮し大学への進学を断念せざるを得なかった「宗教2世」が存在するなど、信者本人以外への被害も深刻だったとしています。

教団側は「違法行為の組織性、悪質性、継続性のいずれも認められず、解散命令を請求するような要件には当たらない」と一貫して反論しています。

統一教会の解散命令に対する世論と反応

安倍元首相襲撃犯の伯父は「遅くなったとは思うが、政府が請求に賛成する世論に従うのは当然だろう」とコメント。統一教会を巡っては自民党を中心とする国会議員らとのつながりも浮上しており、「教団と政治の関係もさらに明らかになるのか関心がある」と話していました。またネット上でも「宗教って、個人の心の平安を導いて、家族、近所など社会的な平安を求めていく…のが目標の一つになると思う。その点で、過度な献金によって家族として生活が破綻するのは宗教団体として目標から掛け離れている。山上被告の行為は非難されるべきだが、その動機には同情の余地があると感じる。」「多くの人々が知っていたのに、何故これほど長期間放置されていたのか?最近そう思わせられたのが、ジャニーズの問題だ。統一教会もジャニーズの件も半世紀も前から問題視されていたのではないか。どちらにも共通して言える事は、日本の大マスコミが忖度して見て見ぬふりをしてきたせいもあると思う。」というような声が見られました。

統一教会解散に向けた運動の背景と動き

2023年10月11日、全国霊感商法対策弁護士連絡会が永岡桂子前文部科学大臣、葉梨康弘法務大臣、甲斐行夫検事総長宛に、統一教会について「宗教法人解散命令の請求」を行うよう申し入れたことがはじまりです。その後全国さまざまな場所と方法で署名活動が広がりました。今回なぜ「文部科学省」なの?と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。実は文部科学省の諮問機関に「宗教法人審議会」があるのです。そこで教団の解散命令を請求することについて全会一致で「相当だ」と意見を得たとして、解散命令の請求が正式に決定されました。

統一教会解散の影響と今後の展望

宗教法人の解散命令が請求されると、その法人が本部を置く都道府県にある地裁が審理を担当します。そのため統一教会は東京地裁が解散を判断することに。審理は非公開で行われ、裁判所は解散命令を請求した側(文部科学省)と教団側の双方の意見を聞いたうえで、判断することになります。

解散命令が確定すると宗教法人ではなくなり、税の優遇がなくなります。固定資産税の非課税などの優遇措置が受けられなくなり、財産を処分しなければならなくなります。ですが、宗教団体としての存続は可能で、宗教活動も従来通り行うことができます。

いかがでしたか?裁判は長く続きそうだという専門家の方もいるので、いつ決着がつくのか気になるところです。いずれにしても、被害者の方々が早く救われることをお祈りします。

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