「会食恐怖症」という言葉がXでトレンド入り。小・中学生でも発症することがあるそうなので、元中学校教師の立場としてとても気になりました。そのためさっそく調べてみました!
会食恐怖症とは
会食恐怖症とは、人前でご飯を食べることについて恐怖、不安、緊張などを感じる症状をいいます。中には震えを感じたり、吐き気を感じたりする人もいるようです。会食恐怖症は「社会不安障害(SAD)」の症状の1つと考えられています。社会不安障害とは「人と関わることに不安や恐怖を感じ、人との接触を避けるために健全な社会生活が脅かされる障害」をいいます。その1つが「会食恐怖症」。他にも「赤面症」「対人恐怖症」なども社会不安障害の1つと考えられています。
いずれにしても、人から注目されることや人前で恥ずかしい思いをすることに恐怖を感じ、人との会話や大勢の人が集まる場に強い苦痛を感じるのが特徴です。
会食恐怖症の主な症状
会食恐怖症は次のような症状が挙げられます。
- 人と食事をすることに対して、強い不安や恐怖、緊張を感じる
- 食事前に、過度の不安や緊張を感じる
- 食事中に吐き気や動悸など、身体的な反応を感じる
- 人との食事や会食を避けることが習慣化してしまうため、人間関係が制限されてしまう
- 食事中に他人の視線を気にし、食事を取り分けたり、口を拭ったりする行為が難しくなる
- 食べ物がのどに詰まったり、口からこぼしたりするのではないかという不安感に襲われる
- 食事が原因で周囲から嫌われたり笑われたりするのではないかという恐怖感がある
会食恐怖症の治療方法
会食恐怖症は女性に多いといわれています。また、摂食障害や過食症などの症状がある場合にも、会食恐怖症が現れることがあるそうです。さらに会食恐怖症は、子どもや若年層に多く見られることも特徴の1つといわれています。
会食恐怖症の治療は以下のようなパターンがあるようです。
認知行動療法
認知行動療法は、自身の物事の捉え方や行動に働きかけててストレスを軽減させる心理療法の1つです。会食恐怖症に対する考え方や行動パターンを変えることで、恐怖症を克服させます。会食恐怖症の場合は、自分が不必要なストレスを抱えているという気づきや、他人からの評価が必要以上に気になってしまうという考え方を修正し、安心感を得られるように導きます。
曝露(ばくろ)療法
曝露療法は、苦手なものに少しずつ慣れていくよう治療する方法です。あえて苦手な場面に身を置くことで、その環境に慣れていきましょうというもの。会食恐怖症の場合では、カウンセラーの指導のもとあえて人との食事場面に直面させることで、会食に対する不安感を軽減させていきます。
薬物療法
薬物療法は、文字通り「薬」を使って症状の改善を図る治療法です。抗不安薬や抗うつ薬などの薬を使用して、会食恐怖症の症状を緩和します。前述の認知行動療法や曝露療法と併用されることが多いです。
会食恐怖症の原因
会食恐怖症にはさまざまな原因が考えられます。
過去のトラウマ
過去に会食中にトラウマを経験した場合、その経験が引き金となって会食恐怖症になることがあります。例えば子どものとき、給食中に吐いてしまった、喉に詰まらせてしまった、咳き込んでしまって恥ずかしい思いをした、食べ方や食器の扱いが変だと指摘された、などがあります。
遺伝的要因
家族に会食恐怖症の人がいる場合、同様の症状を発症するリスクが高くなることが知られています。
脳内物質の乱れ
不安や恐怖の感情を調整するセロトニンという脳内物質があります。このセロトニンのバランスが乱れると、不安や恐怖、ストレスを感じやすく、会食恐怖症の原因になることがあります。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、しっかりとした休養や趣味を楽しんだりすることで分泌されます。また「日光を浴びる」ことや「軽い運動」もセロトニン生成に大きな効果があるとされています。朝ジョギングしたり、散歩したりすることで精神的に安定する人が多いのはこのためです。
また、食事もセロトニン生成に大きく関わっています。セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから生成されるので、この物質が多く含まれている食品を摂ることが重要です。マグロ・カツオなどの赤身の魚、牛乳・チーズなどの乳製品、大豆、ナッツ類、バナナに含まれております。また、ビタミンB6やマグネシウムなどの栄養素も摂取が推奨されています。これらの食品の摂取を、規則正しい食生活を合わせて実行することが重要であるといえるでしょう。
会食恐怖症で注意すべきこと
会食恐怖症では?と思ったら、まずはすぐに専門家のサポートを受けることが大切です。それと同時に学生であれば、すぐに学校にも相談すること、社会人であればできれば上司に相談することが重要です。また食事から栄養を取れていない可能性もあるため、小分けにしたり、自分好みの食材を選んだりして、なるべく多くの栄養素が取れるよう配慮する必要があります。
ストレスが大きな原因になっていることがあるため、ストレスを溜めないようにすることも大切です。軽いストレッチや運動、趣味の時間を取り入れ、食事のことを考えない時間を作り出すことも大切です。また、自分のペースで食事をする空間や時間を作るようにするといいでしょう。
これらを実現するには周囲のサポートが必須です。
最後に
会食恐怖症は、学業や仕事や恋愛、人間関係に大きな影響を及ぼす症状であることは間違いありません。ですが克服した人が多いのも事実。「あれ?」と思ったら迷わずすぐに専門家のアドバイスを受け、早期に治療を受けましょう!
この記事が少しでも役に立つことを願っております。
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