夏休み・冬休みといえば出される課題、
読書感想文。
作文は大っ嫌い!
どう書いたらいいか全然わからない!!
という声は、私が現役教員のときも子どもたちからたくさん聞いてきました。
こどもと一緒に取り組んであげたいけど、
どう教えたらいいかわからない…
そんな風に感じている保護者の方もいるのではないでしょうか。
今回はそんなご家庭に向けて、
読書感想文に向いている本の紹介と
書き方のコツを伝授したいと思います。
夏休みや冬休みの最終日に、
「泣きながら原稿用紙を埋めていく」
そんなことがないように、ぜひ参考にしてください!
小学校高学年・中学生におすすめの本5選
私の専門は「中学校の国語」です。そのため、残念ながら小学校低学年向けの読書については専門外なのです。そのためここでは、小学校高学年と中学生に向けた本をご紹介したいと思います。
低学年向けの書籍にはこんなものがありましたよ!
ここでおすすめしている本は、
- 分量がそれほど多くない
- 読みやすい単純なストーリー
- 書店で購入できるある程度有名な作品
- 読書感想文が書きやすい要素がある
を条件にしています。
それでは、ご紹介していきましょう!
夏の庭 (湯本香樹実)
新潮文庫の100冊にも入っている小説です。夏になると書店でも目立つように配置されるなど、不動の人気を誇る1冊。
【あらすじ】
人の死に興味をもちはじめた少年たちが、ひとり暮らしをするある老人の「観察」をはじめます。そこで育まれる深い交流や少年たちの成長、老人の変化。「どのあたりから変化を感じたか」「どうして主人公たちは変化していったのか」などを考えると筆が進むと思います。「続きのストーリー」を考えてみるのもいいと思います。
とにかく、感想文が書きやすいストーリーだと思います。
デューク (江國香織)
中学校の国語の教科書にも載ったことがある作品です。また、過去にセンター試験(現大学共通テスト)にも出題され受験生が試験中に涙を流したことでも有名な作品。「世にも奇妙な物語」で映像化もされています。その時は確か優香さんと中尾明慶さんが演じていました。
愛犬を亡くした女性と、突然現れたひとりの青年。2人の交流が思わぬ展開に広がっていきます。感動のポイントはどこだったか。伏線はどこだったか。自分がデュークだったら、自分が主人公だったら、
といろいろな角度から感想が書けそうです。72ページとかなり短編なので、読書が苦手な人におすすめの1冊です!
夢をかなえるゾウ (水野敬也)
大人気ベストセラーの作品です。5シリーズまで展開されていますが、すべて続きのストーリーではないので、まずは試しに「1」をおすすめします。分量は少なくないのですが、章立てされているので、途中の感想でも全く問題なく、感想文を書くことができます。ですが、途中で終わる人はいないと思うほど、楽しく読むことができます。
実際、学級文庫に用意しておくと、戻ってきた試しがないほどに、次々と借り手が見つかっていきます。自己啓発系なのですが、大阪弁で軽快な語り口のゾウ(ガネーシャ)と、いろいろな課題をクリアしながら成長していく主人公の姿を楽しめる1冊です。
どの教えが一番印象に残ったか、
課題に対して自分が思ったことはどんなことか、
自分がしている似た実践はあるか、
過去の偉人について深堀してみてもいいと思います。
読み終わった後、「自分も何かをはじめよう!」と思わせてくれます。
バッテリー (あさのあつこ)
王道中の王道の1冊。必ず学校の図書室にありますね。
中学校の野球部を舞台にしているので、部活に熱中している中学生にはピッタリな作品です。
【あらすじは】
天才ピッチャーとしての自信にみなぎっている少年と、その彼とバッテリーを組むことを熱望している少年。登場する少年たちそれぞれの成長を楽しみつつ、自分と重ね合わせて読み進めていくこともできます。主人公たちの言葉や行動に対して思ったことを素直に書いてもいいし、自分だったらこうする、という意見を書くこともできる作品です。シリーズで続いていきますが、これもまずは1巻から読んで、感想を書いてみるのがいいと思います。
図書館戦争 (有川浩)
アニメや映画にもなっている人気作品です。映画は榮倉奈々さんと岡田准一さんが主演しています。映像化されているので、活字にとっつきにくさがあるのなら、まずはアニメや映画などの映像を見てから、小説に入ってもいいかもしれません。タイトルに「戦争」とあるので、ドンパチメインかと思いきや、主人公の女の子の恋や、仲間との友情や、家族との愛情なども描かれている作品です。男女問わず楽しめる1冊だと思います。
「続きのストーリを考える」
という感想文にもできる作品だと思います。
読書感想文を書くコツ
ただ漠然と「書け!」と言われると、
無理~(汗)
となってしまうのは、当たり前のことです。授業でも、「今日は感想文を書いてもらうよ」というと
無理~、やだー
のオンパレードです。では、どのようにしたら書きやすくなるのか。
実際に授業で取り入れていた方法をご紹介します。
明確なテーマを設定する
「全体の感想を書いてね」には大ブーイングの生徒でも、
「今日は、続きのストーリーを自由に考えてもらうね!」とか「この主人公の、紹介文を書いてみて」と課題を明確にすると、わりと作業しやすそうにしています。読書感想文の嫌なところは、「本を読んで、とにかく何か書け!」という、この強引さ。その解決策として、
1つの大きなテーマを作る
ことが打開策の鍵です。
テーマの例
- 続きのストーリーを考える
- 主人公の描かれていないバックグラウンド(生い立ち)を考えてみる
- ある1つの場面に対して、いろいろな人物の角度から考察してみる
- ある1つの言葉について、過去(現在もあり)の偉人たちと重なる部分を探してみる
- 自分と重なる部分を探す
- 自分と真逆なことを探す
あらすじを書いてはいけない!
読書感想文で一番やってはいけないこと、それは
あらすじを追う
ことです。原稿用紙2、3行なら〇です。しかし、半分以上があらすじというのは×。これが中学校教員時代に感じていた、一番の悩みの種でした。読書感想文に限らず、「修学旅行の思い出」「学校祭の思い出」という課題を与えると、多くの生徒が、
「まず、〇〇に行きました。そして、バスで〇〇に移動しました。それから、…」と日程のすべてを詳細に書こうとしてしまう。これだと、
「あなたの感想はどこ?」状態。あったことすべてを書こうとすると、この罠に陥ります。
だから、「課題を設定する」ことが大事なのです。
どんな展開がおすすめ?
作文を書くとき、悩むのが書き出しですよね。書き出しが決まると、スラスラ進む経験は誰しもあるはず。少しだけ、書き出しの例にもふれながら読書感想文の展開例を紹介したいと思います。
例1:
- その本を選んだ理由
- 前述したテーマ例のどれかを使う(続きのストーリーとか、人物像にせまるとか)
- 読み終えた感想
例2:
- あらすじ(ごく簡単に)
- 前述したテーマ例のどれか(特に印象に残った言葉とか、自分と重なる部分とか)
- 読み終えての感想
例3:
- この本をおすすめしたい点(2~3こ)
- おすすめしたい理由を具体的に(感動や共感のポイントなど)
- 読み終えての感想
まとめ
読書感想文は、苦手な人が多いジャンルです。逆にいうと、
その分周囲と差をつけるチャンスでもあります。
映画やドラマなどに映像化されたものから見る、という方法もあります。AIに頼りたくなる昨今。ぐっと耐えて、自分の手で素敵な読書感想文を書けるよう祈っています。ここまでご覧いただきありがとうございました!
したっけ、またね!
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