
「仲の良い友達と離れたらどうしよう…」「嫌な子と同じクラスになったら最悪だな」 学生時代、クラス替えの結果に一喜一憂した経験は誰にでもありますよね。
実は、中学校のクラス替えは単なる「運」ではありません。そこには、教師たちが3月の夜遅くまで会議を重ねて作り上げる、緻密な「設計図」が存在します。
クラスのメンバーはどうやって選ばれているの?仲良しグループやカップルが離されるって本当?先生のお気に入りは同じクラスになれるの?
今回は、元中学校教師の私が、一般の方には決して見えない「クラス替えの裏側」をすべて暴露します。これを読めば、新学期の発表の見え方が少し変わるかもしれません。

【極秘】まずは「生徒カード」の作成から。教師がチェックする15の項目

クラス替えを行うとき、まず最初に行うことは、「生徒ひとりひとりの特徴を分類する」ということです。具体的には、
- リーダー性
- 問題行動の有無
- 発達障害の有無
- 欠席日数
- 部活動
- 成績
- 人間関係
- アレルギーの有無
- 身体的な配慮が必要かどうか
- ピアノが弾けるかどうか(合唱コンクールがある場合)
- 母子、父子家庭
- 双子、三つ子、親戚関係
- 保護者のPTA協力
- 保護者がモンスターかどうか
- 担任からみたその生徒の一言メモ
上記のような項目について、生徒一人ひとりのことを担任がデータにしていきます。学年団によっては、わざわざ生徒全員分のカードを作って、そこに手書きで記入していくスタイルもありました。顔写真まではつけませんが、その1枚に、その生徒のすべてが書き込まれています。その準備が、だいたい3月の上旬からはじまります。
これが「クラス替え」の土台となり、スタート地点です。

クラスの「核」を決める!リーダーと配慮が必要な子の絶妙なバランス

各担任が、生徒それぞれについて情報を入れ終わったら、次に行うのが、
【クラスの核となる生徒たちを決めていく】という作業です。
リーダー性のある生徒や問題傾向のある生徒を、各学級に均等に配置したり、保護者対応や不登校対応で手こずりそうな生徒を洗い出し、各学級でおなじ重みになるように考えます。
正直、クラス替えで時間がかかるのはこの部分です。ごくごく普通な、まじめでどこのクラスに入っていもうまくやれる生徒を「一般生徒」と表現したりするのですが、この「一般生徒」がものすごく少ない!何かしら配慮が必要な生徒が、年々増えている印象です。
というわけで、このステップ2の作業は、日をまたいで2日、3日続くこともあります。
最後は機械的に?成績・男女比・ピアノ枠をパズルのようにはめ込む作業

ステップ2で決まったクラスの土台に、「一般生徒」をくっつけます。これは本当に機械的で、成績と男女比が均等になるように、ただただ機械的にはめこまれます。そうして最終段階のチェックとなります。
「絶対に同じクラスにしてはいけない生徒同士」が同じになっていないか。
「絶対に同じクラスにしなければならない生徒同士」が同じになっているか。
部活同士で偏りがないか。
アレルギー生徒が多すぎないか。
母子家庭、父子家庭ばかりになっていないか。
ピアノを弾ける生徒が、各クラス最低1名いるかどうか。
そんな確認を、学年の先生全員でくまなく確認していきます。
もし入れ替えた方がいい生徒がみつかったときは、性別、成績が同じような生徒同士を交換していきます。「明るい雰囲気」とか「何か物静かな子が多いね」とか、そんなことで交換が行われることもあります。
よく、
先生のお気に入りだから、あの子は先生のクラスなんでしょ?
と聞かれることがあります。そんなことが可能なのか。次の項目でお話していきたいと思います。
【残酷な真実】なぜ「仲良し」や「カップル」は意図的に引き離されるのか?

語弊があるかもしれませんが、担任は、【好きな生徒】を自分のクラスに入れることができます。とはいえ、「この生徒、ください!」「あ、この子もほしい!」というような、みなさんが考えるような気軽で安易なやりとりではありません。
例えば、ものすごく乱暴者で問題行動が多いA君がいたとします。誰もできればA君の担任にはなりたくありません。でもA君には、リーダー性のあるBさんには逆らえない、という一面があります。そんなとき、「A君の担任になるなら、絶対にBさんもうちのクラスにもらいます!」というようなやりとりがある、というくらいです。
理由もなく「この生徒好きだからほしい」なんて先生は、今までの経験ではいませんでした。もしかしたら、何かうまいことやって、自分のクラスにくるように細工をしていた先生はいるかもしれませんが(笑)
あとは、担任との相性をみることもあります。問題行動はないけれど、「あの子は、あの先生の元でなら、もっと育つのではないか」「あの子は、あの先生のいうことだけは素直に聞くよね」とか。
というわけで、担任が【好きな生徒をとる】ことは、可能と言えば可能である、が答えです。
次によく聞かれるのが「仲良しは離されますよね?」「付き合ってるカップルは離されますか?」というもの。これは、どっちも「Yes」に近いかと思います。クラス替えの目的が「交友関係を広げるため」ということも含まれているからです。
仲良しグループが同じクラスになってしまうと、そこでもう交友関係は広がらなくなってしまいます。また、仲間割れすると厄介です。同じように、カップルもなるべく離します。別れると厄介ですので。クラス内でベタベタされるのも、クラスに良い影響があるとはいえません。そのため、付き合っていることをバレないようにする生徒たちもいました。(でもだいたいわかります)
保護者からの要望は聞くのか?

クラス替えの時期が近づいてくると、保護者から出される要望の多くが、「あの子とクラスを離してください」「来年も先生のクラスにしてください」というもの。
学校側が判断して、本当にそうした方が良いケースはそうしますが、ただただ好き嫌いでの要望は、ほぼ100%叶えられません。まあ、でも、言わないよりは、いった方がいい!ダメもとで言ってみよう!くらいの気持ちで、伝えてみるのはいいかもしれません。
正直に言うと、クラス替え作業で一番怖いのは「見落とし」です。「あ、この子とこの子、去年トラブルがあったんだっけ!」という一言で、数時間かけて作った案が白紙に戻ることもしばしば。3月の職員室は、まさにパズルと格闘する戦場なんです。

担任はいつ決まるのか?
そうやって決まった新しいクラス。3月の「終業式」あたりには、すでに仮学級として決まっています。では、誰がそのクラスを持つのか。これは、おおよそで決めながら学級編成を進めています。だれ先生がそのクラスをもつのか、イメージしながら学級を決めていっています。ただし、人事異動がからんでくるので、あくまでも(仮)になります。学級編成と同時進行で、校内人事が進みますので、次年度、誰が何年生をもつのかはだいたい決まっています。
そのため、新卒の先生や異動してきたばかりの先生には、あまり大変なクラスにならないように配慮したりします。正式に決まるのは、4月1日。その日のうちに担任が決まり、副担任が決まり、授業の担当者が決まります。
土壇場で入れ替えが起きたりすることもあります。そうして、始業式にみなさんに発表することになります。「先生、新しいクラス決まりましたか?」と3月に聞かれても、「まだだよ」と言われるのは、これが理由です。

まとめ
クラス替えは、皆さんが1年間を楽しく、そして安全に過ごせるように先生たちが知恵を絞って作った「最高のおもてなし」でもあります。
もし希望通りのクラスじゃなかったとしても、それは「新しい自分や友だちに出会えるチャンス」として、先生たちが背中を押してくれたのかもしれません。
新学期、皆さんに素敵な出会いがあることを願っています!
したっけ、またね!

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